血も出てないし、何ともなさそうだけど
わたしは呪文を唱えた
痛いの痛いのお空に飛んでいけ~~~!
「ぴゅ~~~!!」
息子は納得したように、いつもここで静かに笑います。
痛いの痛いのママに飛んでいけ~~!!
あまりにも不機嫌で泣き止まないからとにかくどうにかしたくって
一度だけ違う魔法を唱えてみました。
痛いの痛いのママに飛んでいけ~~~!!
「あいたぁ~!」
わたしがそう言うと君は大爆笑
この日は痛い原因はそっちのけ。二人でげらげら笑って過ごしたね。
痛いの痛いの飛んでいけ~!!!
転んだとき
ひっかいたとき
ぶつけたとき
そう唱えるわたしに
君は重ねてこう言うようになりました。
息子「マ~マに!」
痛いの痛いのママに飛んでいけ~
君は笑うゲラゲラ笑う
わたしが「あいた~!」というたびに、
お腹の底から声を出して大口を開けてよだれまで垂らして笑う
息子「マ~マにとんでけ~!」
わたし「あいた~~!」
なにやらわたしの元にとんできた
優しくて温かいものがわたしの胸にとんできた
君の痛いのツライの苦しいの全部ママのところに飛んでこい
大きくなる中で困ったことがあったら
いつでもママを頼ってね。
そして「あいた~っ」って一緒に笑って蹴飛ばそう。
おわりに
「痛いの痛いのお空に飛んでいけ~」っと言って、息子の膝小僧を撫でてあげたら、
一丁前に
「違う、マ~マに!」って息子が言うから
薄情なやつだな~って思いながらわざと痛がってみました。
よだれまで垂らして笑う息子の姿がおかしくて、ついにはわたしまで笑いすぎて涙がポロリ。
チクンとした温かい痛みがわたしの胸にとんできました。
息子の痛みはなんでも身代わりになってあげたいけど、結局それは無理な話。
きっとこれからたくさんの気持ちを人知れず経験しながら成長していくであろう息子を思うと、「ママにとんでけ~」って考えなしで言える今が一番幸せなのかもしれないなと感じました。
痛いの痛いのママのところに飛んでこい
温かくて優しい痛み、ママのところに飛んでこい